*
オレまに
コンコンッ

横島の狭い部屋にノックの音が響く。

「は〜い」

ドアを開けた横島の目にワルキューレの姿が映った。
いや、ワルキューレではなく春桐魔奈美と言った方が正しい。

「よう、3日ぶりか?」
「最近は軍の仕事が少ないからな。休みがとりやすい」

そう、春桐は休みの度に横島のアパートへ足を運んでいた。
何を隠そうこの二人、半年前から付き合っているのだ。

「今日は泊まっていけるのか?」
「休みは1日だ。夜には帰らないと…」

春桐の表情が曇る。
休みの度に横島の元に訪れているとはいえ寂しいのだろう。

「そんな顔すんなよ。またすぐに会えるさ」
「そうだな」

横島が笑顔で諭すと春桐に笑顔が戻った。


――――――――――――――――――――――――――――――
     「Partner」
――――――――――――――――――――――――――――――


この二人の馴初めは戦場だ。
魔族の中でアシュタロスを倒した横島に興味を持ったバトルマニアが人間界に現れた時だった。
二人は見つからぬように霊気の濃い富士の樹海へ身を潜めていた。
そこで語り合い、思いを打ち明けた二人は結ばれたというわけだ。
ちなみに横島と戦いに来た魔族は飛躍的に霊力(煩悩)の上がった横島にやられ魔界に引き返した。

「コーヒーでも飲むか?」
「そうだな、私が入れよう」

春桐は台所に置いてある自分のエプロンを着るとお湯を沸かす。
そして馴れた手つきでカップとインスタントコーヒーを取り出した。

「なんかいいなぁ」
「何がだ?」

春桐を後ろから眺めていた横島が声をかける。

「新婚さんみたいでさ」
「なっ、まったく…」

横島はニヤニヤしながら言う。
春桐は赤くなったところを見ると満更でもなさそうだ。

「ワルキューレ、そのままでいいから聞いてくれ」
「何だ?」

その反応を見た横島は真面目な顔をする。

「俺さ、独立して一人でGSの事務所を開こうと思うんだ」
「やっとか、お前の実力を考えると遅すぎるぐらいだ」
「重要なのはそこじゃないさ。そしたらさ、そしたら…」
「…??」
「結婚しよう!」
「えっ!?」

春桐は思わず驚き、声をあげる。

「事務所の物件は目星を付けてるんだ。そこにさ二人で住もうぜ」
「横島…ありがとう…でも、いいのか? 私は魔族だぞ」

横島は春桐の問いに答えず手招きをする。
春桐はゆっくりとした足取りで立ち上がった横島の目の前に立った。

「ほらっ」

横島は春桐の手を取るとその指に指輪を通す。

「これが答えだ」

春桐は横島に抱きついていた。

「ありがとう、ありがとう…」
「幸せにする。絶対にだ!」

横島は力強く宣言する。
そして春桐の細い体に腕を回した。

「夜まで時間あるんだろ?」
「あぁ」

横島は春桐をそっと押し倒す。

「「んっ…」」

そしてキスをする。

「あっ…んぁ、はぁ…」
「幸せにするよ。絶対に、絶対に…」

アパートの狭い部屋には男の決意と女の歓喜が満ち溢れていた。






武者丸さんのリクエストでワルキューレSSです。
2003/03/19 「夜に咲く話の華」小ネタ掲示板にて掲載

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